自分の感情に気付き、コントロールしやすくするためのトレーニングを紹介します。
まず、仰向けに寝転がります。
ゆっくりと呼吸をしながら目を閉じて、体の各部位に意識を集中させていきます。
頭→顔→首→背中→腹→腰→右手→左手→右足→左足
この順番で、体の上から下の方へ、意識を向けていきましょう。
どのような感覚が起こるでしょうか?
その感覚を注意深く感じ取って下さい。
人の感情と体の状態は深くつながっています。
恐怖や不安などによる緊張も、必ず体の反応としてあらわれるものです。
脳の中に島皮質と呼ばれる部位があり、ここが体の状態と感情を結びつける役割を果たしているからです。
このトレーニングは、島皮質の機能を高めることを目的に行うもの。
つまり、体の状態を知ることで自分の隠された感情に気付き、コントロールしやすくなるのです。
細かい感覚や感情の変化に気付きやすくなると、脳をいつも疲れにくいニュートラルな状態に保ちやすくなるでしょう。
室町時代の猿楽師、世阿弥の言葉に「離見の見」というものがあります。
役者が観客を楽しませようとして独善的にならないように、自分の演技を客観的に見る必要性を説いた言葉です。
離見とは観客から見た自分の姿。
「離見の見」とは、自分で自身を見て、観客の見る目と自分で見る目が一致することが大切、という意味。
上に紹介したトレーニングは、この離見の見そのもの。
人は他人のことはよく観察できても、自分自身についてはなかなか客観的に見ることが出来ません。
この体の感覚を感じるトレーニングは、自分自身を客観的に見るためのトレーニングとも言えるでしょう。
朝起きた時、夜寝る前、いつでもできる方法です。
疲れて横になっている時などに、試してみることをおすすめします。
きっと、様々な自分の隠された感情に気が付くと思います。