記憶力を高めるための大切な要素の一つとして、目と脳のつながりについてお伝えさせていただきました。
目を使っての観察力を鍛えると、記憶力は向上しますが、目での観察には欠点もあります。
読書をしていても、目は退屈な部分は読み飛ばしたり、あまり読みたくないところは、さっと通り過ぎることが出来ます。
しかし、これが音読していたらどうでしょうか?
退屈なところや読みたくないページなどの内容も、声に出すことで、耳からしっかりと脳に入って来ます。
耳から入って来た情報は、脳に焼き付けられ、言葉の意味の理解も深まります。
小学生の頃の授業を思い出して下さい。
みんなで順番に教科書を音読した覚えがあると思います。
この方法だと黙読と比べて一冊の教科書を読み終えるために、かなりの時間を要しますね。
大人になってからの勉強では、こんな時間のかかる読書は、とてもやってられません。
短時間にいかに早く大量の本を読んで、いかに記憶に残すか、という方法が必要になります。
早く本を読むためには、音読の癖を無くさなければならなりません。
黙読していたとしても、単語の一つ一つを頭の中で音に変換していたのでは、読むのに膨大な時間が掛かります。
そのため、速読教室のカリキュラムでは、音読の癖を無くすための本を眺めるトレーニングや、いかに早くページをめくるかといった訓練が中心になります。
これは、日頃あまり使っていない脳を活性化するためには効果的な方法で、記憶力を上げるためには、ぜひ取り入れるべき訓練の一つでしょう。
ところが、最初にお話しさせていただいたように、この方法では知識の習得に偏りが出来てしまうもの。
その偏りを無くし、言葉や文章の意味を本当に深く理解するためには、やはり音読が必要です。
小学生の頃の効果書の内容など、大人になった今でも一字一句正確に再現できるものが、例え少しでも、誰にでもあるのではないでしょうか?
やはり、膨大な時間を掛けて理解を深めた内容は、しっかりと記憶に残るものです。
読書に限らず、記憶力を向上させるトレーニング法として、耳からの学習はとても効果的です。
耳に入って来る情報は、目と違って省略できません。
聞き飛ばすというのは、読み飛ばすことと比べるとはるかに難しいもの。
音声を聞きながらの学習は、読書よりもはるかに多くの記憶を頭に残してくれます。
また、日頃大量の本を読む人でも、これは!という良書に出会った時には、一度音読してみることもおすすめ。
声に出して読むことで、黙読では得られない分析能力が生まれ、より理解が深まります。
いくら知識を集めても、記憶の貯蔵庫に貯めておくだけでは、何も価値を生み出すことは出来ません。
知識を生きるための武器に変えるには、それらを使いこなす能力を上げることが大切。
分析能力を上げ、必要に応じて、すぐに知識を引き出せなければなりません。
耳からの学習は、視覚では鍛えることが出来ない、より深い部分の記憶力を高めてくれます。
好きな音楽を覚える。
誰かの講演会の音声を聞きながら、自分でも話せるようにトレーニングする。
本の内容を間違うことなく話せるように訓練する。
など、何でも良いでしょう。
記憶力を高めるために、耳学習の習慣を付けておくことをおすすめします。