健晃堂

屋台から学ぶ

4月も半分が過ぎました。

昨日は造幣局の桜の通り抜けに行って来ました。

こんな場所では、ずらっと並んだ屋台を見て歩くのが楽しいですね。

私も今から20年ほど前、テキ屋の仕事をしていたので、屋台を見るたびにその頃を思い出します。

この時の経験は、商売の基本を覚えたという点では今に至るまで、本当に様々な場面で役に立つことになりました。

田舎のちょっとしたお祭りや、駅の構内、農機具屋さんの空きスペースなどを仕事で回っていて、私は主にクコの実や松の実などの健康食品や、マツタケ昆布、蜂蜜昆布などを扱っていました。

行く先々で、様々な種類のテキ屋の人と出会うのですが、当時、最も売り上げを上げていたのは甘栗屋さんでした。

特別な栗屋さんではありません。

ただの甘栗屋さんです。

普通では無かった点と言えば、“最初から半額”だったこと。

いつ、その甘栗屋さんと一緒になっても毎回最初から大きく“半額”と手書きで書かれたダンボール製の看板が掲げられていました。

いつ行っても閉店セールをやっているお店と同じような手口ですが、たったこれだけの工夫で、びっくりするくらい人が引き寄せられている光景に驚いたものです。

半額とは書かれていても、その半額の値段は当然、正規の値段。

しかも、通常二千円のところが半額で千円などと、甘栗にしてはかなり高い値段で書かれているものだから、お客さんは良い物だと勝手に勘違いをしてしまいます。

屋台も終りかけの時間になると、みんな何とか商品を売り切ろうと様々な工夫を凝らし始め、他の食べ物を扱う店はこの頃から半額セールを始めます。

でも、最初から半額の甘栗屋さんには関係無し。

終わってみれば、いつもトップの売り上げを叩き出していたようです。

こんな単純なやり方でも、売り上げが大きく上がることを目の前で見せつけられました。

一方で、私が扱っていたものは売り切らなければならない物ではないので、半額セールはは親方が許してくれません。

指示された売り上げ目標にほとんど届いていない時など、打つ手が無くてかなり焦ったものです。

毎回、目標をクリア出来なかった私は、いつも大目玉を食らいながらも、追い込まれた時の状況の切り抜け方をたくさん教えてもらうことができました。

単価の高い商品を大量に、一人の人に狙いを定めて売り一気に売り上げを上げる方法。

雨の日でお客さんが来ない時と、天候も良く賑わっている時の行動の取り方の違い。

など。

普段は、美味しさと品質を売りにしているマツタケ昆布を無料で味見させて、人を大勢集め、手ごろな価格の商品と一緒に、一気に高額な商品を売りさばく。

これが基本パターンでした。

インターネットビジネスの世界で定石とされる方法と全く同じ。

最初は大量に無料で情報発信をする。

次に、フロントエンドの安めのセミナーやイベントに誘導する。

ここまでは利益はほとんど無いか、むしろ赤字。

最後に利益を得るために、高額商品を販売する。

いわゆるプロダクトローンチという手法の、ネットを使わないリアル版ですね。

そして、この時に実感したことと言えば、どう考えても達成不可能に思える売り上げ目標数字でも、何らかの行動を起こせば、自ずとそれを達成するためのアイデアが出てくること。

親方から教わった知識を基に行動を起こせば、次から次へと考えが浮かんで来るものでした。

どんな最悪の状況に追い込まれても、死なない限り、窮地を切り抜ける方法はあるものです。

お祭りなどで並んでいる屋台も、売り上げを上げるため、ロスを出さないために毎日工夫を凝らしています。

そんなところには、ピンチに陥った状況から脱出するための方法や、自力で将来を切り開くためのヒントが数多く得られるでしょう。

屋台も、そのように観察しながら見ていると、さらに楽しさが上がるかも知れません。

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