人が本当の意味で生産的な時間を過ごしている時は、周囲の人にはなかなか理解してもらえないものです。
例えば、料理人。
包丁を持って厨房に立っている時のみが仕事をしている時間ではありません。
市場での仕入れや、料理内容を考えている時間、感性を養うためのあらゆる行動。
これらがあってこそ、人の心を動かすような料理が完成します。
厨房で仕事をしている時間は、工場に例えると包装と出荷作業の様なもの。
生産はすでに終わっているのです。
これは、あらゆる職業で同じことが言えます。
治療家であれば、白衣を着て施術所で患者さんと接している時だけが生産的な時間ではありません。
知識や技術の獲得、自分自身のコンディションを整える時間、見聞を広めるための行動などは全て、患者さんに良い施術を提供するための生産的なもの。
美容師、税理士、弁護士、医師、スポーツ選手、デザイナーやライターなどの職業、全て同じ。
本当に生産的な時間は、遊んでいたり、休んでいるように見られがちです。
これに対し、長時間の労働は多くのケースで、あまり生産的になりません。
一生懸命働いているように見えて、実際には機械でも出来るようなことをやっているだけの場合もあります。
人間の生産は多くの部分において精神的なものとなるため、生産的な人か怠慢な人かは、他人が外から見て判断することは出来ないでしょう。
ボーッとしている時に、散らかっていた思考が一つにまとまって来る。
仕事のことは何もかも忘れて遊んでいると、様々なアイデアが浮かび上がって来る。
このような時間に価値を置き、大切にする人こそが生産的な人間。
日頃から頑張って働いているつもりでも、創造のための時間を軽視していると、それは怠慢かも知れません。
どうすればもっと効率的に生産性を上げることが出来るのか。
このような方法論を考えることは、大した意味をなさないでしょう。
なぜなら、人は遊んでいる時も、テレビを眺めている時も、寝ている時でさえ、生産的な活動をしているものだから。
怠慢な人になるのを避け、生産的な人になるためには、精神的な創造の時間を持つことが大切。
スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋とばかりに、活動的に過ごすのも良し。
一日中、ボーッと過ごすのも良し。
最近は働き過ぎていると感じたら。
時には気の向くままに過ごしてみてはいかがでしょう。