心の不調を感じた時に取るべき行動の一つ。
“頭で物事を判断するのを完全にやめてみる”
現代人はつい、何事も頭で考えようとしてしまいがち。
理論的に説明が付く話は正しい。
話がまとまらないものは、あまり信用できない。
多くの人はこのような思考にとらわれています。
しかし、心と体の仕組みの視点から見れば、これは人を心身ともに病気に追い込む危険な考え方。
その理由は、“大脳には免疫機能が存在しないということ”
人には、人体にとって有益か有害かを見分ける免疫機能があります。
口から摂り入れた飲食物は、腸などの消化器系で働く免疫機能により、有益な物は体内に取り入れられ、有害な物は体外に排泄されます。
ところが、人の脳にはこの免疫機能がありません。
つまり、情報に対しては有益・有害の区別が、人の頭には出来ないのです。
いくら理論的に正しい話でも、その思考は人の心にとって有害なものかも知れません。
支離滅裂で全く理論が成り立たないような話でも、それらはとても有益な影響を心と体に与えてくれる場合もあります。
人が何事も頭で物事を判断してしまうと、理論的には正しくても、心と体にとっては悪影響を及ぼす行動を取ってしまう危険が高いのです。
にもかかわらず、なぜ人は物事を理論で判断してしまうのでしょう。
これには、人類史上最大の知を持つと言われている、大哲学者アリストテレスの影響があるとされています。
アリストテレスは人類の知を、ポエーシス(poiesis)、プラクシス(praxis)、テオリア(theoria)の三つに分類しました。
ポエーシスとは、ものを作ること。
プラクシスとは、行為、実践など、何かを行うこと。
テオリアとは、研究、理論など、観ること、考えること。
アリストテレスはこの中で、テオリアを一番上位の知と位置付けました。
このことが、後世の人々を理論的思考最優先にしたとされています。
しかし、アリストテレスの業績は偉大なものだとしても、唱えた説が全て正しかったわけでは無いことは、歴史が証明しています。
世界の中心に地球があるといった天動説などは、今では完全に否定されていますよね。
理論などというものは、時が経てば覆されてしまうものがほとんどです。
心も体も絶好調で、身辺の物事が理論通りに進んでいる時は、それで良いでしょう。
ただし、何かが間違っていると感じた時には、すぐに理論は忘れることが大切。
物事の良し悪しを判断する能力は、人体を構成する細胞約60兆個の一つ一つが持っていると唱える学者もいるほどです。
それに対し、脳を構成する細胞の数は千数百億個。
単純に計算すれば理論的な判断は、どれだけ頭の良い人の考えであっても、全身の0.002%ほどしか使わずに出されたもの。
人が本来持っている力をほとんど使わずに出された結論ということが出来るでしょう。
いかに信用出来ないものであるということが、イメージ出来るのではないでしょうか。
そんな理由から、心に不調を感じた時には、理論的思考からは離れ、全身の細胞が持つ知を働かせることが大切。
そのためにはどうすれば良いのか?
次回から何度かに分けてお話しさせていただきます。