心理学、コミュニケーション、コーチング、自己啓発や成功法則のセミナーや大流行りです。
人が集まる場に出向けば、必ずと言って良いほど何らかのセミナーの勧誘を受ける時代になりました。
これらはどれも、人の心に関係したものばかり。
心に関して学ぶ場が増えたのは、とても良いことでしょう。
しかし、これらは学ぶのは簡単でも、それを活かすのは非常に難しいもの。
特に、あるポイントを忘れてしまっては、周囲の身近な人たちから自分自身まで、ズタズタに傷つけてしまうことになりかねません。
絶対に押さえておかなければならないポイントとは。
人の心を知るのは、相手の体を知るのと同じだということ。
もし、誰かの体についてより深く知ろうとして、メスで相手の体を切り刻んだり、レントゲンでX線を浴び続けさせると、どうなりますか。
相手は痛み、もがき苦しむでしょう。
心を扱う場合でも、全く同じです!!
体は目に見えて触れるものなので、普通の人は、誰かの体をメスで切り刻むようなことはしません。
ところが、目には見えない心となると他人に対しても自分に対しても、急に切り刻まれるような痛みを与える人が増えるのです。
誰かに対して、質問ばかりを投げかけ、相手の心を引き出そうとする。
もしくは、この人はこういう人だと、勝手に分類化して型に嵌めようとする。
様々な精神分析の手法を用いて、相手の心を切り開いてしまう。
自分と向き合おうとしながら、知らない間にズタズタに心を切り裂いてしまう。
問題なのは、これらは心を傷つけている方も、傷つけられている方も、それになかなか気が付かないということ。
目に見える体を切り裂かれれば、誰でも気が付きますが、心となると気付きません。
そのため、心に関する学びの場が増えれば増えるほど、ズタズタに心を引き裂かれる人が増えるという状況になっています。
人の体を切り裂くと言っても、喜ばれる場面もあります。
ドクターが患者さんの病気や怪我を治す時など。
切り裂かれる痛みやダメージはもちろんありますが、それ以上に強い痛みを取り除くわけですから、そんなケースでは喜ばれるでしょう。
ただし、現代のドクターはいきなり患者さんの体を切り裂いたりはしません。
必ず麻酔をした上で手術を行います。
人の心を分析し、問題を取り除くために切り裂く場面でも、この麻酔は欠かせないもの。
この場合の麻酔とは、相手からの“絶大な信頼”
その信頼を得るために必要なのは“共感力”
相手に寄り添い、人の心を知るためには、その人と同じ体験をしたり、同じ感情を共有することが大切。
全く同じ体験は出来ないかもしれませんが、共感力を上げて感情を共有することは出来るはずです。
体に不調を感じた時。
原因を知るためにと、どこの誰ともわからない人に、いきなりメスで切り刻まれたらどんな気持ちになりますか?
想像しただけで、恐ろしくないですか?
とても信頼している医師や治療家から、優しく心地良く触ってもらえれば、同じ不調の原因を知るための行為でも、天と地ほどの差があるでしょう。
人の心を知ろうとする時でも同じ。
まずは、相手の気持ちに共感し、信頼を得て心を開いてもらうことが大切。
基本的に人は、心の中を覗かれることに対して、強い不快感を覚える生き物です。
自分の体を解剖されて、中身を覗かれたい人などいないでしょう。
心についても、全く同じです。
それでも心の状態を分析されて喜ぶ人がいるのは、何らかの不調を抱えているケースか、もしくは好奇心が強い人。
相手に心地良さを感じさせてから、心を切り開いてみるのは良いかも知れません。
それ以外の人に対して、心についての学びや、心理学的なテクニックを用いての、相手の心の分析などは、軽々しくは行うべきではないでしょう。
医師はメスで人の体を切り開いて治療が出来るようになるまでに、膨大な時間と学び、経験を必要とします。
心の治療に対しても、全く同じと思うべきで、生兵法は怪我の元。
だからと言って、傷つくことを恐れていては、せっかくの学びを何も活かすことが出来ないでしょう。
私たちの心と体は一つにつながったもので、切り離すことは出来ません。
体だけを見ても、機械のように部品を組み立てて作られたのではなく、最初から一つにつながっているもの。
生きた人体を分析するには、必ず痛みを伴います。
心も同じ。
様々な要素があったとしても、あくまで人の心は一つにつながっているものです。
自分に対しても、他人に対しても、心の状態を知ろうとする場合には、必ず心地良い状態に身も心も置くことが大切。
それが心を切り開く前の麻酔の役割を果たしてくれるでしょう。
全ては一つにつながっているものです。
このつながりをイメージ出来るようになることが、心の学びを役立てるためには大切。
様々なつながりについてのお話を続けてみたいと思います。