幸せが逃げると言われる「ため息」
疲れた時に、ふぅ~っと一息ついて、誰かから「ため息つくな」などと言われた経験、誰にでもあるでしょう。
しかし、心と体のバランスの視点から見た場合、ため息には幸せが逃げるような要素は何もありません。
精神的にも強い緊張状態で、忙しい日々を過ごしている人は、むしろどんどんため息をついた方が良いでしょう。
ため息は幸せを呼ぶ、と言っても過言では無いほど、ため息には心身のバランスを整える効果があるものです。
人は息を吸う時には交感神経の働きが強くなり、心も体も緊張します。
息を吐き出す時には副交感神経の働きが優位になり、リラックス状態になります。
無意識にため息が出るのはなぜでしょうか?
強い緊張状態が続き、息を吐きたくても上手く吐けなくなり、どんどん溜まっていった時に身を守るため、ガス抜きのように息を吐き出すためです。
息が詰まってしまうと、頭も空回りしてばかりで視野が狭くなり、考えがまとまらなくなります。
ため息には、そんな行き詰まり感を解消する作用があるものです。
「ため息をつくと幸せが逃げる」と言われたのは、時間の流れがゆっくりしていた時代の話。
のんびりした環境では、何かを成し遂げるために行動を続けるのは大変なこと。
緊張の糸を切るため息は、確かに幸せを遠ざけていたのかも知れません。
現代は逆に、誰もが毎日緊張し過ぎ・行動し過ぎの時代。
休みの日でも、なかなか仕事が忘れられず、リラックスできない人が増えるばかり。
こんな時代に心の充実を感じるには、時々緊張の糸を緩める必要があります。
そのためのコツの一つが、ため息を上手く使うこと。
ため息をついて、緊張が和らぎ心が落ち着いてくると、日頃は見えなかった豊かさが感じられるようになります。
豊かさを感じられると、人の心は充実したものになります。
ため息をつくのを我慢するのは、緊張しなければならない場面だけにして、お休みの日などは、しっかりと息を吐き出してみてはいかがでしょう。
深いため息は、とても心を充実したものにしてくれると思います。