健晃堂

情報は取りに行くものでは無い

インターネットと携帯端末の普及で、私たちの暮らしは大きく変わりました。

世界中の情報に一瞬でアクセス出来る。

自宅に居ながら、遠くのお店で買い物が出来る。

など、一見すると飛躍的に便利になったように感じます。

しかし、人の心身の健康を扱う鍼灸師の視点から見れば、必ずしも私たちの暮らしは楽になったわけではありません。

現在42歳の私と同世代、もう少し上の世代の方なら感じているのではないでしょうか?

インターネットがまだ、あまり普及していなかった時代の方が、精神的にも身体的にも楽に暮らせていたことを。

何故なのしょう?

暮らしが便利になればなるほど、うつに悩む人が増え、自律神経失調症などの体の不調を訴える人が、昔と比べて増えてしまったのは。

私が外部との連絡を一切絶ち、一週間のお籠り生活で感じたのは、

「情報は取に行くものでは無い」

ということ。

人間が作り上げたテクノロジー環境に、ほとんどの人は体が追いついていません。

上昇志向が強い人ほど、インターネットを使い情報を取りに行こうとします。

すると、膨大な情報の渦に飲み込まれ、何が正しいのかわからなくなり、迷走から抜け出せなくなります。

常に不安が付きまとい、胸が緊張し、呼吸が浅くなります。

緊張とリラックスのバランスが取れなくなり、常に体には無駄な力が入り、心身ともに極度の疲労状態に陥ってしまうでしょう。

その結果、ある人は良く分からないまま新しいビジネスに手を出し失敗したり、またある人は高額な自己啓発セミナーで大金を失ってしまったり。

うつ病治療で薬浸けになってしまう人も居るようです。

今よりさらに良い暮らしを手に入れようとすればするほど、現実は悪化して行く一方。

何とかしなければと、また情報を取りに行き、さらに状況は悪化するといった悪循環に嵌ってしまいます。

私自身にもこの経験はありますし、似たような人は少なくないのではないでしょうか?

ところが、

自分の方からは一切情報を取りに行くことが出来ない環境に身を置いてみると、本当に必要な情報は勝手に近づいて来ることに気が付きます。

情報過多によるストレスから最初に体が解放されると、気持ちも意外なほどリラックスしてくるのがわかります。

精神的に深いリラックスが得られると、自分には何が出来るのか、何が必要で何が必要で無いのかが、はっきりと感じられるものです。

つまり、豊かに生きるために必要な情報は、既に自分は持っている。

そのことに気が付くでしょう。

具体的に、その情報が何なのかは、人それぞれ違い同じものは無いかも知れません。

次に意識は、持っている情報をどのように使いこなせば良いかという点に向かい始めます。

こうなると、考え事をするのが楽しくて仕方がありません。

現実は何も変わっていないにもかかわらず、頭の中から不安は消え、常に心地良い状態が続くでしょう。

日常に戻れば、考えたことを実行すれば良いだけ。

頭の中が、自然ときれいに整理されて来るのを感じることが出来ました。

いつも暮らしている環境では、SNSを活用してコミュニケーションを取ったり、ネット上で調べ物をすること自体は、決して悪い事では無いと思います。

便利なものは便利なものとして使いこなせば良いでしょう。

ただし、

今の現状をもっと良くしたいから積極的に情報を取りに行く、といった考えでネット環境に向かっているのであれば。

この思考は見直した方が良いでしょう。

現状を良くしたいのであれば、情報を取りに行くのではなく、まずは今の自分にあるものを把握すること。

それらをどう使いこなすかを考えること。

ここにしっかりと意識を向けるべき。

その上で、どうしても必要な情報なら取りに行けば良いのでは。

私は今回、強くそのように感じました。

情報を取りに行けない環境に身を置いてみると、他にも感じたことがあります。

また次回、お話しさせていただきます。

15.08.19

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