健晃堂

お店を持つことについて

今週は出会う人から毎日のように、将来はお店を持とうと思っているという話を聞きます。

私が10年経営していた整骨院を閉院した話をすると、店を持つことに対してどう思うか?と数名の人から続けて聞かれました。

これについては、条件や業種、その人の目指す方向性によって何とも言えないでしょう。

それでも、私の意見を言わせてもらうと、

個人で店舗を構えるのは反対です!!

特に、飲食業、整骨院、鍼灸院、美容院、マッサージなどリラクゼーションサロンなどについては大反対です。

その理由について述べさせていただきます。

どんなお店を構えるにしても、ビジネスとして行う以上は利益を出し続けなければなりません。

ここが、最初の大きなポイントです。

利益を出せば良いのではありません。

“出し続け”なければお店は続けられないのです。

ビジネスというのは、お金を払ってくれるお客さんが居て初めて成り立つもの。

なので、やろうとしている事に対して、お客さんが居るのかどうかで、結果は全て決まってしまいます。

飲食業や治療院、美容院などは一見すると、必ずお客さんは居るように思われます。

ですが、日本人口の将来の変化に目を向けて下さい。

国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、15歳~64歳までの生産年齢人口です。

2015年 7681万8千人
2020年 7340万8千人
2030年 6772万9千人
2050年 5001万3千人

このように予測されています。

中心となってお金を稼いでいる人口が減少するのだから、お客さんは減る一方です。

つまり、何もしなくても売り上げは下がる一方。

自宅などを改装し、初期費用も固定経費も掛からない状態でお店を出すのであれば、それでも何とかやっては行けるでしょう。

しかし、開業資金を借金をしてお店を出し、月々の返済+固定経費が掛かるお店を出してしまったら……

将来は確実に売り上げが下がるのです。

もう、目も当てられない悲惨な将来しか待っていません。

借金を返し終わるまでやめることも出来ない。

固定経費と返済金を払うことで頭がいっぱいになり、全てにおいて余裕が無くなってしまう。

そして、冷静に考えればどう考えても元が取れない、おかしな儲け話に飛びつき、更に状況が悪化してしまう。

その結果、周囲の人は離れて行き、自分自身も心身ともにボロボロになる。

将来は自分もお店のオーナーに、という夢を抱いている人には申し訳ないのですが、これが今の日本で実際にお店を出した人の現実です。

これからお店を出すというのは例えるなら、下りのエレベータに乗り逆らって上ろうとしているようなもの。

しかも下りのスピードは早くなる一方。

ゆっくり上っていたのが、気が付いたらいつも全速力で走り続けている。

にもかかわらず、自分の居る位置は下がる一方。

逃げたしたくても逃げることも出来ない。

こんな人生を送りたいですか?

自分には、今までに無かった良いアイデアがあるから大丈夫。

そのように考えていたとしたら、甘い!!

自分のお店を出そうとする人は、誰でも思っている事です。

仮に、そのアイデアが大当たりして、お店が大繁盛したとしたら何が起きるのか。

必ず、資金力のある企業に真似をされます。

徹底的に真似されます。

しかも、資金力にものを言わせて、更に良い物やサービスを安価で提供し始めるでしょう。

それも、自分のお店の真向かいや、すぐ隣で……

街をよく観察してみて下さい。

このような事例はいたるところに溢れ返っています。

技術と知識、人間力の高さで流行っていた個人経営の治療院の近くに、資本力のある企業が進出して来て、巧みな宣伝や過剰なサービスで、徐々に患者さんを奪っていく。

美容院などでも同じような光景が見られます。

一番悲惨なのは飲食業でしょう。

現在41歳の私たちの世代や、その上の世代には、店を構えるということは立派な事。

自分の城を持てば、あとは成功へ向かっていくだけ。

といったイメージを持っている人が多いようです。

なので、大人たちの話を聞いて育った今の若い世代の人にも店を持つことに憧れている人が多いのでしょう。

しかし、店を出すことで自分のやりたいことが出来たり、経済的成功を手に入れられたのは、日本の人口が増え続けていた時代の話。

店を持つ=上りのエスカレーターに乗る

こんな時代は、完全に終わりました。

今は、店を持つ=時代の流れに逆らって生きる

これがどれだけハードで辛いかを体感するために店を出してみるのであれば、私は止めません。

多くの経験と学びが得られることは確か。

それらは後々に必ず役に立つでしょう。

ただし、くれぐれも初期費用と固定経費は最小限度で行う事をおすすめします。

そうは言っても、小さなお店を流行らせて成功している事例もあるじゃないか!!

確かに成功例もありますね。

それには必ずある手順があります。

また、次回にお話します。

Tagged on:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です