熱中症は、炎天下の中に長時間さらされた時にだけ起こるわけではありません。
むしろ、室内の方が危険。
ある調査では、救急車で搬送される熱中症の約半数は、室内で起きているそうです。
なぜ、直射日光の当たらない室内に居ても、熱中症になってしまうのでしょうか。
大きな理由は、“空気の流れが止まってしまうこと”です。
普段はあまり意識することはありませんが、人の体の表面は、厚さ数mmの空気の層で覆われています。
この人体表面の空気の層は、皮膚と同じ温度に保たれています。
人は熱湯の中に一瞬でも浸かると大やけどをしてしまいます。
なのに、室温100℃のサウナに入ってもやけどをしないのは、この体を取り巻く空気の層が保護してくれているため。
空気が流れ風が吹くと、この層にある空気が皮膚面の温度より下がった空気と入れ換わります。
この現象は、対流と呼ばれています。
対流によって、体内の熱が外に放散されるようになっています。。
自転車を漕いでいる時や、早足で歩いている時など動いている時には、暑さはあまり感じないもの。
ところが、止まった途端に急に暑くなり汗が吹き出しますよね。
それは、この空気が入れ換わる対流が起こらなくなるからです。
つまり、空気の流れによって、人は暑さの感じ方が変わるわけです。
風通しの悪い環の中では、人は体内に溜まる熱をあまり放散できません。
しかも、室内に居ることによる安心感で暑さに慣れてしまうと、いつの間にか体内に熱が溜め込まれてしまいます。
そんな状態が長時間続くと、めまい、吐き気、嘔吐、動悸、頭痛などの熱中症の症状が現れます。
とにかく、湿度も気温も高い状態では、室内を閉め切らないことが大切。
エアコンが苦手で、夏でもあまり付けない人は特に要注意。
直接風に当たらなくても扇風機などを回し、部屋の中に空気の流れを作っておかなければなりません。
熱中症は自分は大丈夫、と思っている人ほど発症するリスクが高いもの。
空気の流れが滞りやすい室内の方が、熱中症にかかる危険が大きくなるものです。
暑さが原因で、倒れてしまうのを防ぐために。
室内に長時間いる時には、意識して空気の流れを作っておくことをおすすめします。