健康な人とは、どんな時でも絶好調で、病気になどならない強靭な体の持ち主のことでしょうか?
決してそうではありません。
心の健康についても同じです。
いつも前向きでポジティブ思考の固まりのような人が、心が健康な人ではないのです。
インフルエンザに感染したなら、高熱が出て仕事を休まざるを得なくなるような人。
仕事、恋愛、人間関係などで上手くいかない時には、傷付き、マイナス思考に陥ってしまう人。
本当は、このような人こそが心身ともに健康な人なのです。
天候に例えてみます。
良い天気の日とは、どんな日でしょう。
雲一つない晴天の日が頭に浮かぶのではないでしょうか。
では一年中、そんな日が続いたらどうなるでしょう。
もし雨が全く降らなかったとしたら。
水は干上がり、作物は育たず、みんな餓死してしまいます。
生きていたとしても、太陽が輝く青い空を呪い、雨を渇望するようになるでしょう。
雲一つない晴天は、普遍的に良い天気ではないのです。
同様に、大雨の日が悪天候だとも限りません。
人が生きていくためには、どちらも必要です。
天候に良いも悪いも、最初から無いのです。
全く病気になることが無い人の体も、存在しません。
私たちが暮らす環境には、病原菌も一緒に生きていますし、ウイルスも存在しています。
誰でもそれらに感染するものです。
また、人のは動く時には、全てバランスを崩すところから始まります。
すると、必ず体のどこかに負担が掛かります。
関節などが壊れないように、痛みや不調を感じるようになっているのです。
・病原菌に感染してしまった。
・体の特定のある場所に、負担が掛かり過ぎている。
こんな時、正常に知らせてくれる体こそが、本当の意味での健康体。
いつも絶好調の体とは、例えるならブレーキが壊れた車のようなもの。
危険が迫っていても、スピードを落とすことが出来ず、いつか大事故に遭ってしまいます。
気持ちが沈むことが無い人も存在しません。
人が落ち込んでしまう時とは、
・自分と比べ、他人の優れている点が目につく時。
・自分の欠点や、治すべきところを知った時。
などではないでしょうか。
これらは全て、人の成長のためには欠かせないもの。
深く落ち込んだ気分になる日があるからこそ、人は成長し続け、魅力のある存在になれるのです。
それならば、
体の不調を感じていても良い、ネガティブな性格はそのままで問題ない。
ということかと言えば、これもまた違います。
この世は、何事もある一定のリズムを刻み続けています。
月は満月と新月を繰り返す。
海は満潮と干潮を繰り返す。
一日は昼と夜を繰り返す。
季節は春夏秋冬と、同じリズムが続いています。
陰と陽があって、はじめてこの世は成り立つもの。
人も同じ。
元気いっぱいの日もあれば、動きたくない日もある。
前向きな気持ちの日もあれば、落ち込んでしまう日もある。
これが繰り返されてこそ成り立つもの。
これらのリズムから大きく逸脱しないように、心も体もコントロール出来る人が、本当の健康な人。
低気圧が近付くと、体が重だるくなり、気持ちもふさぎ込みになる。
それも心身ともに健康な証拠です。
雨の降る中、晴れの日と同じように外で活動したとしたら。
滑って転んで怪我をする、風邪をひいてしまうなど、良いことにはなりません。
健康な心と体は、危険から身を守るために、自然と行動にブレーキを掛けてくれているのです。
人は本能的に“生きる”という目的に向かっています。
それは、時には心身のエネルギーを限界まで酷使して、力尽きるまで働くことかも知れません
またある時は、グッタリと死んだように寝ることかも知れません。
とにかく、“生きる”という目的に向かっている限り。
人はその状態を“心地良い”と感じます。
異常とも言えるほどきつい、ハードワークをこなしている時でも。
マイナス思考に陥り、気持ちが深く落ち込んでいる時でも。
何もしないで、最悪な状態ばかりが頭に浮かんできていたとしても。
高熱にうなされ、布団の中でずっと横になっていても。
そんな状態の中に居ながら、ある種の“心地良さ”を感じた経験は誰にでもあるでしょう。
つまり、それらは全て、生きるために必要なこと。
良いも悪いも無いのです。
心地良さの中に身を置き続けていれば、生きるために必要な波に、自然と乗り続けることが出来るでしょう。
日々の暮らしの中に、心地良さが感じられているでしょうか?
心身ともに心地良い状態を求めていれば。
健康で豊かに生きるため、自然と出会うべきものに出会えると思います。
参考にしていただけると幸いです。